RA 研究会 infomation

リサーチアドミニストレーションとは

日本のリサーチアドミニストレーター(RA)

リサーチアドミニストレーターをとりまく状況

日本におけるリサーチアドミニストレーションという概念は、ごく最近認識されはじめた。日本でリサーチアドミニストレーターという言葉が公に使われ始めたのは、2009年あたりからであるが、今年、 年に入ってからは、総合科学技術会議の各種委員会・分科会をはじめ、様々な場所でリサーチアドミニストレーターという言葉が使われるようになってきた。
まず、平成21年版 科学技術白書には、米国のリサーチ・アドミニストレータの紹介が4ページに渡ってなされている。さらに、平成22年版 科学技術白書においても、博士号取得者の新たな活躍が期待される職業のひとつとして、リサーチ・アドミニストレータを挙げている。
また、2010年3月19日に旧7帝大および早稲田・慶応の総長、塾長らが共同で発表した「-新成長戦略、科学技術基本計画の策定等に向けた緊急政策提言-」において、基礎研究等の推進のための政策のひとつに、「公募申請から成果の権利化まで研究プロジェクトのマネジメントを支援するリサーチ・アドミニストレーターや、研究の芽を発見しこれを推進する目利き人材(二次的創造者)の確立など、研究支援・研究協力体制の整備」を挙げている。

行政側の動きとしては、2009年、補正予算により設立され、6月に公募された「」プログラムにおいて、大学における教育研究支援体制の整備を図るため、リサーチアドミニストレーターを含む教育研究支援スタッフの整備を支援した。また、2009年に文部科学省より提出された平成22年度概算要求のなかでは、「ポストドクター等の参画による研究支援体制の強化・R&Dアドミニストレーション体制の整備・組織横断型研究・技術支援体制の整備」を項目の一つに挙げている。(しかしながら、この年の概算要求は、優先度判定Bという結果となり、認められなかった。)

産業界からは、2010年5月28日に日本経団連産業技術委員会重点戦略部会より発表された科学・技術予算編成プロセス改革「アクション・プラン」(案)に関する意見の中で、競争的資金のプロセスの効率化について、「競争的資金に係る煩雑な事務処理は、リサーチ・アドミニストレーターが不足するわが国においては、研究者に大きな負担を強い、研究活動に支障をきたす一因となっている。」と述べている。

このように、リサーチアドミニストレーターの概念の浸透とともに、リサーチアドミニストレーター人材に対する要求も各方面から高まってきているといえる。

リサーチアドミニストレーター人材の配置状況

金沢大学では、2010年1-2月にかけて、かけて、全国立大学法人および以下の事業等に採択された公私立大学,大学共同利用機関法人,独立行政法人の研究所及び研究開発機構に「研究支援専門職の配置状況に関するアンケート調査」を行った。
(該当事業等名:グローバルCOE,科学技術振興調整費,国際化拠点整備事業(グローバル30),教育研究高度化のための支援体制整備事業)

研究支援専門職の定義は、「外部資金の獲得支援や各種事業の推進支援等の研究支援を目的として配置する専門的知識を有する専任のスタッフ(事務職員を除く。)」とした。

アンケート依頼機関133機関中の回答機関は78機関。回答率58.6%

  • 調査結果:
    • 研究支援専門職員配置状況:

      回答が返ってきた78機関中、51機関で研究支援専門職の配置をしている(65.4%)。

    • 研究支援専門職員人数の集計結果:

      研究支援専門職の数は、78機関で619人、1機関あたり7.9人であった。

    • 研究支援専門職員の職名(処遇):

      619人の研究支援専門職のうち、12人が任期無しの教員、残り607人が任期付きの教員またはその他の職であった。

    • 研究支援専門職員人件費の財源:

      競争的資金(間接経費含む)を財源として雇用されている研究支援専門職員は378人、それ以外(運営費交付金、寄付金、共同研究費等)が219人であった。無給も22人いた。

    • 研究支援専門職員の職務内容:

      産学官連携・知的財産管理業務(328人)、外部資金獲得支援(86人)、研究支援体制の整備や研究戦略(83人)、芸部資金プログラム運営(57人)、その他 女性研究者支援、国際交流、研究機器の管理指導、広報活動

      *本人が研究活動をしている、また実験補助をする者も研究支援専門職員として挙げられていたが、今回意図したものではない。

    • 研究支援専門職員の採用条件:

      特になし(236人)、大学卒以上(101人)、博士号取得者(99人)、博士学位と同等の者、専門的な能力および職歴のある者(2人)、修士以上(26人)

これらの調査から、少なくとも日本には既にリサーチアドミニストレーター的業務を行っている人材が、”一般事務職員以外に”600人以上存在することがわかった。また、これらの人々は、ほとんど全てが任期付きの職に就いていることも明らかになった。
一方、各研究支援専門職員のキャリアパスについての質問をおこなったところ、圧倒的に未定と答える機関が多く、キャリアパスに関しては見通しが付かない状況である。

前述の平成22年度文部科学省概算要求のヒアリングにて、リサーチアドミニストレーター人材育成に5年間の予算をつけたとしても、最初に全体の制度設計を考慮しておかなければ短期的なポスドク救済策になってしまうのでは、キャリアパスが見えない、という総合科学技術会議による指摘があったように、リサーチアドミニストレーター人材のキャリアパスは大きな課題となっている。

リサーチアドミニストレーターネットワーク

2010年2月5日、金沢大学主催で第1回 リサーチアドミニストレーション研究会を開催した。全国から事務職員、教員、博士研究員など様々な肩書の若手が集まり、それぞれ業務紹介を中心に行った。今後さらにネットワークの広がりが期待される。